自己形成史、自分史、人物研究のすすめ

2021年12月15日/ 坂内夏子

大学4年生の方々は、卒業論文完成・提出まであともう少し、という時期になりました。

卒業論文は、自分の興味関心・テーマを形にするものです。ゼミでやってきたこと・自分で考え調べたことをまとめて書いていくということになりますが、時々、「どうしてもテーマが見つからない」とか、「体育部やクラブ活動を徹底的にやってきて、それ以外に何も思いつかない、どうしよう?」と学生さんから言われたことがあります。そのような時は、「自分が頑張ってきたことを徹底的に考えてみる」、「自分のこれまでをふりかってみる」ことからはじめてみようか、と声をかけてみます。そうすると、また「そんなことでいいのですか?」と驚かれることがあります。

自分のこれまでをふりかえってみる、いわゆる自分史です。まだ若いみなさんですが、結構いろいろなことがあると思います。自分史は、思いの深い出来事、人との出会いなど、きっかけになった事柄を時系列で書き出した自分だけの年表です。それをもとに、自分にどんなことがあったのかを客観的・俯瞰的にふりかえり、その時の選択した自分の価値観や経験、社会との関わりから、いま考えること・学べることはたくさん見つかります。

卒業論文は、エッセイや日記ではなく、論証していくことが求められますので、「書き方」はおさえておく必要はあります。自分以外の誰かの歩み(授業で取り上げられた人物、伝記など)からも様々な発見があるでしょう。

 

著者プロフィール

坂内夏子 (さかうち なつこ)

教育・総合科学学術院 教育学部 教授
社会教育学,生涯教育学
https://w-rdb.waseda.jp/html/100000413_ja.html