学部3年生・小宮山愛実さんにうかがいました!

2022年05月06日/ 濱中淳子

早稲田大学には,さまざまな学びの場・活動の場があります.平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)(https://www.waseda.jp/inst/wavoc/)もその1つ.WAVOCは,学生たちの「誰かの役に立ちたい!」「困っている人を助けたい!」「世界をちょっとでもよくしたい!」という気持ちを応援する場です.

今回は,生涯教育というテーマと結びつけながらWAVOCで活動する3年生,小宮山愛実さんに寄稿していただきました!ぜひご覧ください!

 

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私はWAVOC(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)の災害ボランティア研究会に所属しています。災害ボランティア研究会では、防災に関して自分たちで勉強する学びと、対外活動の中での実践という2つの軸を通して少しでも多くの方の防災行動につなげるにはどうしたらよいかを考える活動をしています。

WAVOC小宮山愛実さん

私がこの研究会に参加したきっかけは、遡ると2011年の東日本大震災にあります。当時小学3年生で東京に住んでいた私は大きな被害は受けませんでしたが、自分の経験の中で最も大きな揺れにとても驚き、災害と隣り合わせで生きているのだ、ということに対して初めて実感を持ちました。そして被災地の様子をテレビ越しにただ見ていることしかできないことに、何もできない自分に、無力感や悲しさを感じたことを今でもはっきりと覚えています。それからは防災に関する本を読んだり過去の災害の報道を見たりと、ぼんやりと防災に関心は寄せていたものの、具体的な行動はしていないまま大学生になりました。そんな折に参加したイベントで東日本大震災の語り部の方のお話を聞く機会があり、お話の中の「もっと備えておけばよかった」という、救えたはずの命に対する後悔の声や、防災とは過去を語り忘れないことだけではなく、「幸せな未来を築くためのもの、未来のために語ること」であると仰っていたのがとても心に残りました。震災から年数が経つにつれて震災を知らない世代が増えていき、私の7歳下の弟も当時のことはあまり覚えていないと話していたことを聞いて私は、当時感じたことまで記憶して自分のことばで伝えられるのは私たちが最後の世代なのではないか、今まで何もできなかったとしても未来のためになら私にも何かできることがあるのではないかと感じ、他者に伝えるという活動にも取り組める災害ボランティア研究会に参加することを決めました。

WAVOC小宮山愛実さん

WAVOC小宮山愛実さん

防災はどこにいても、どんな人も身に着けて行動に移せるようにすべき知識です。知って、共有しておけば自分だけでなく大切な人のことも守れるものです。全ての世代の人々にとって必要であり、地域単位や個人の特性に合わせた災害リスク・対策の把握が重要であるというその特徴から、防災は学校教育や家庭教育、社会教育を組み合わせた生涯教育において一番効果的に学べるのではないかと私は考えています。地域に根差した生涯教育によって地域全体で防災に取り組めるようになれば、災害時に役立つだけではなく地域コミュニティの再建や日頃の防犯、協力体制の構築なども期待できます。現在研究会では防災に関する学び合いの研究活動に加えて近隣の小学校や保育園で防災教育の実践を行っていて、私は子どもたちに防災教育を行うことで備えを当たり前に感じてほしいという意図や、子どもを通じた家庭への教育効果の波及も期待しつつ活動を行っています。地域を巻き込んだ教育のあり方や、学ぶだけで終わりではなく他者にも良い影響を与える教育とはどんなものかと試行錯誤を重ねることは、防災のみならず他の分野においても生涯教育のさらなる発展に役立つと考えています。今後も自分の専門である生涯教育の視点から防災を広めより多くの人の防災行動につながる教育を考え、実践していきたいです。

WAVOC小宮山愛実さん

 

著者プロフィール

濱中淳子 (はまなか じゅんこ)

教育・総合科学学術院 大学院教育学研究科 教授
専門分野:教育社会学,高等教育論
https://w-rdb.waseda.jp/html/100001497_ja.html