中学・高等学校教育実習に向けて―【教育実習演習】の授業風景-
2022年05月18日/ 戸谷登貴子
今年も教育実習の季節がやって来ました。
私が担当している【教育実習演習】の授業は、中学・高等学校の教員免許取得を目指す学生が、毎年様々な学部から集まって来ます。生涯教育学専修の学生も履修しています。
半期の授業ではありますが、秋学期に開講する【教育実践演習】も同クラスで続くため、ほぼ1年、毎週毎週顔を合わせる仲間となります。4年生の授業としては、ゼミの次に一緒に学ぶ時間が長い授業なのではないでしょうか。
この授業は講義名の通り、教育実習へ行くための準備(心構え、教科指導、生徒指導等)の授業です。教育実習では、これまでに大学で学んできた教職、専門科目の知識をアウトプットする場となります。どれだけこれまでの学びが身体に入っているか、そして教育に対し真剣に向き合い、力を注げるかが問われる場となります。とは言っても母校で実習を行う学生も多く、みんな不安を持ちつつも教壇に立つのを楽しみしています。
毎年、初回授業で「教職を取ろうと思った理由」を書いてもらっていますが、多くの学生が、中学・高校で感銘を受けた先生との出会いを挙げており、やはり教師という職業は、人の人生において影響を与える職業だと改めて思わされます。
この授業のメインの一つに、教科ごとのグループによる指導案検討会と模擬授業があります。特に今年は、高等学校で新学習指導要領が完全実施となり、学習指導案において評価規準など表記の仕方も変わるため、時間を要しました。模擬授業では、全員が教師役と生徒役をやります。みんな自分の専門教科となると、目が輝き、楽しそうに授業実践しています。授業後のグループトーク(教科会議)では、幅広い学部から集まっているだけに、視点の広い論や意見交換が成され、実習を目前に控えていることもあって、かなり真剣に充実したものになっています。限られた時間でやることは満載ですが、グループ内でメンバー同士の距離は近くなり、互いに刺激し合い、励まし合い、それぞれの実習先へ向かっていきます。
教育実習は教職を目指すための重要な学びの機会ですが、学生にとって、その後の進路、人生においても大きな経験となります。実習では、思春期真っ只中の子ども達が、一生懸命生きている学びの場で、教師として生活を共にするからわかること、琴線に触れることがきっとあるはずです。早稲田の学生はみな、教科の面白さや勉強の楽しさを教えられると思っています。是非、自信を持って、教える事を楽しんで来てほしいし、子どもを育てる、子どもの人生に関わる尊さを感じて来てほしいです。 次回、みんなで集まれるのは実習後の7月です。きっといい表情で、実習の経験談を語ってくれると思います。楽しみです。
著者プロフィール
戸谷登貴子 (とや ときこ)
教育・総合科学学術院 教育学部 講師
専門分野:音楽教育(学校音楽・合唱教育)
https://w-rdb.waseda.jp/html/100002973_ja.html