2023年3月卒業式に思う
2023年04月07日/ 小林(新保)敦子
3月26日に早稲田大学の卒業式が行われた。4年間の学業を終えたという達成感に満ち溢れた卒業生たちの笑顔を見ながら、彼らが卒業論文に取り組んできた日々が、走馬灯のように脳裏によみがえってきた。
早稲田大学教育学部では、卒業に際して卒業論文が課せられており、生涯教育学専修では、32000文字の論文の提出が必須となっている。研究者が紀要などに投稿する論文は、20000文字程度が多いため、この32000文字というのは、かなりの分量である。学生たちは、四苦八苦しながらも仲間たちと切磋琢磨しあいながら、論文に取り組んできた。
私のゼミの学生たちは、2022年12月16日に全員、無事に卒業論文を提出した。本当に良かった!卒業論文の提出後、小林ゼミでは、毎年、卒業論文発表会を開催している。同発表会は、ゼミOBOGも参加し、4年生が自分の研究成果を発表するものである。その準備のために、八王子の大学セミナーハウスでリハーサル合宿を実施した。そして、2023年1月22日に、国際会議場で第25回卒業論文発表会を実施した。
卒業論文のテーマは、多彩であるものの、いずれもが、自分の問題意識にこだわった力作である。テーマをあげておきたい。「ICT教育~教育ビッグデータの効果的な利活用についての検討~」「なぜ日本の若者は本を読まないのか」「個人参加型フットサルの課題と今後の展望」「スターバックスから学ぶ社会人としての意識」「長期インターンがもたらす効果と今後の展望」「日本の食品ロスと削減に向けた取り組み~食品ロスを自分事にするために~」「『売れる』バンドになるために~ファン心理と消費動向に焦点をあてて~」「映画文化継承のために~多世代インタビューからみる映画体験~」「疑似家族について~子ども村の事例を通して~」「地方創生×観光」「地方と都会をつなぐために」「スポーツを教育の手段として考える~街クラブに着目して~」「生涯スポーツとしての卓球の大いなる可能性~人生100年時代を見据えて~」「加速するデジタル社会における充実した老後の過ごし方についての検討」「『食育』のあり方~健全な食生活習慣を身に着けるために~」。
オンラインでも同時接続をしたため、アメリカやスイス、また韓国在住の卒業生からも貴重なコメントを頂戴でき、発表会は成功裏に終了した。
そして、卒業式。素晴らし卒業論文を書き上げたという自信を胸に、早稲田大学を巣立っていく彼らの表情が晴れがましく思われた。今後のご活躍に期待する次第である。
著者プロフィール
小林(新保)敦子 (こばやし しんぼ あつこ)
教育・総合科学学術院 教育学部 教授
専門分野:社会教育,家庭教育,比較教育学
https://w-rdb.waseda.jp/html/100000316_ja.html