松山鮎子講師にインタビュー!【早稲田に来て感じたこと・ゼミ合宿の思い出】

2024年10月22日/ 管理人

本日は、2024年4月に早稲田大学 教育・総合科学学術院の講師として赴任された松山鮎子講師をご紹介。

早稲田に来て感じたことや、社会教育の面白さなどについてお伺いしました!

松山鮎子講師

<松山鮎子講師プロフィール>

2024年4月、早稲田大学 教育・総合科学学術院 講師として赴任
専門分野は社会教育学・生涯教育学・学習支援論
早稲田大学出身。 教育学部 教育学科 社会教育専修を経て、早稲田大学 大学院 教育学研究科 学校教育専攻、早稲田大学 大学院 教育学研究科 教育基礎学専攻 へと進む。
趣味:映画・アニメ鑑賞、散歩、お笑い(とくに上方漫才)、美術鑑賞
特技:フットワークが軽いこと、なんでも美味しく食べること

 

ーー早稲田に来られて半年ほど経ちましたが、慣れましたか?

学生時代から数えると、約20年、早稲田にお世話になっているので、キャンパス内で道に迷うとか、授業で戸惑うとか、そういったことはほとんどなかったです。そういう意味では、着任直後から慣れていたといえるかもしれないです。

それに、実は以前、高田馬場に住んでいたこともあるくらい大学周辺の街が好きで、むしろ今は、慣れ親しんだこの場所にまた通えることを嬉しく思っています(昔から行きつけのお店もいくつかあります!)。

まだ慣れない点を一つ挙げるとすれば、学内の業務に関することでしょうか。これまでは、専任の先生方がなさっている業務に関わることがほとんどなかったので、たくさんある会議・委員会のそれぞれの役割や、一つ一つの手続きを理解するのに苦労しています。

 

ーー学生たちとのあいだでおきた、面白いエピソードを教えてください。

松山鮎子講師キャンプ

今年の夏、ゼミ合宿の最終日に学生たちとキャンプをしたのですが、ちょうど当日は熱帯夜で…!

1人用テントの中が蒸し暑すぎて、みんなほとんど眠れずに一夜を過ごしました。かなり過酷でしたが、今となっては楽しい思い出です(ただし、真夏のキャンプはお勧めしません…)。

そのキャンプ場のお風呂が、5分間200円のコインシャワーで、しかも、都会では見たことのない大きな虫たちがザワザワ集まる場所にあったんです。

学生たちは、どうすればこの短い時間内に効率よく全身を洗えるか、あれこれ作戦を立ててシャワーに挑んでいました。数名で一度に入るのがいいか、先に外の流し台で髪を濡らしてシャンプーをつけてしまうのがいいかなど、学生たちが試行錯誤しているのを微笑ましく眺めていましたが、かくいう私も、生まれて初めて背後に大蜘蛛がいる状況でお風呂に入りました。そのおかげか、2分残して完璧に洗うことができました(笑)。

 

ーー社会教育という学問分野の面白さを、一言で表すと?

私自身は、社会教育が、「学び」を通じて人々の生活の土台をつくるという、実践的な学問であるところに面白さを感じています。

(なぜこの一言かというと)少し話は飛びますが、2023年6月に、新しい教育振興基本計画が閣議決定され、公表されました。この計画には、「一人一人の豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割はますます大きくなっている」、なかでも、「地域において人々の関係を共感的・協調的なものとするためには、社会教育による『学び』を通じて人々の『つながり』や『かかわり』を作り出し、協力し合える関係としての土壌を耕しておくことが求められる。こうして形成された地域の人々の関係は持続的な地域コミュニティの基盤となり、ひいては社会全体の基盤となる」と書かれています。

また、戦後の社会教育実践において代表的な人物の一人である鈴木健次郎は、社会教育を「社会の地下水脈」とも表現しています。

これらの言葉が表すように、今も昔も社会教育には、人々の主体的で、共同的な「学び」の営みを通じ、草の根から社会の基盤をつくり出すという考え方があり、さらにそうした観点から、現実の社会問題にアプローチする役割を期待されてきた面があります。
私はそのような社会教育の考え方や実践に面白さと魅力を感じていて、現在は、それがどのように生み出され発展してきたのかについて、歴史的な視座から研究しています。

 

ーー学生へのメッセージをお願いします!

日頃学生たちと接していると、多くの学生が、いろいろな「こうあるべき」にとらわれて、悩みを深めている印象を受けます。

たとえば、在学中に人とは違う特別な経験をしておかないといけない。できるだけ効率的に学ばなければならない。親や周囲の期待に応えないといけない。ほかの学生や教員をみて自分の発言や行動を決めなければいけない、というように。

現在の社会状況が学生たちをそのように追い込んでいる面があると思うと、問題はそう簡単ではないように思います。
ただ私自身は、大学時代は「こうあるべき」と一度距離をとって自由に物事をとらえること、試行錯誤や遠回りすることなど、「緩み」が大切にされる時間であってほしいと考えています。

だからこそ、学生の皆さんには、むしろそちらの方を意識して、人と対話し、じっくり考え、さまざまなことに挑戦してほしいです。
また、教員としては、そのような経験を通じてそれぞれの学生の内に生まれるものを言語化し、学問に結びつけるようサポートできることが理想だと思っています。

松山先生、ありがとうございました!

 

著者プロフィール

管理人 (kaerukun)