江戸のメディア王・蔦屋重三郎に学ぶ ―― 伊藤賀一先生を迎えて
2025年07月11日/ 小林(新保)敦子
社会教育史の授業では、スタディサプリ講師の伊藤賀一先生をゲストスピーカーに迎え、「江戸時代の出版文化」についてお話しいただいた。中心となったのは、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』でも注目されている蔦屋重三郎の人物像である。
吉原に生まれ育った重三郎が、どのようにして“江戸のメディア王”と呼ばれる存在になったのか。その歩みをたどりながら、当時の社会や文化の動きと結びつけて語られた内容は、大変興味深いものであった。
寺子屋の普及によって庶民の識字率が上がり、本を読む人が増えたこと、そして田沼意次が老中となった比較的自由な時代の空気を、蔦屋がうまく読み取っていたことなど、時代の流れと出版の発展をつなぐ分析が印象的だった。
後半では、江戸の私塾、明治以降の私立大学、現代の塾・予備校へと続く私教育の流れについても語られた。これまで学んできた日本史の知識が、一本の線につながったと感じた学生も多く、講義への満足度は高かった。
学生の感想にも、その熱気がよく表れていた。「受験期ぶりに先生の関西弁マシンガントークを聞けて、胸が熱くなった」「話がそれたかと思いきや、ちゃんと伏線が回収されていて驚いた」「“リスクヘッジをして、デンジャーを避け、ポイズンから離れる”という言葉が、今の自分にすごく響いた」など、心に残ったという声が多く寄せられた。
伊藤賀一先生には、生涯教育学専修のために、深く、そして楽しく学べる貴重な時間を提供していただいたことに、心より感謝したい。ありがとうございました。
写真は、「記念品の贈呈(スタディ・サプリで学んだ奥山さんから伊藤賀一先生へ)」
著者プロフィール

小林(新保)敦子 (こばやし しんぼ あつこ)
教育・総合科学学術院 教育学部 教授
専門分野:社会教育,家庭教育,比較教育学
https://w-rdb.waseda.jp/html/100000316_ja.html