レファレンスサービスを活用しよう

2022年10月07日/ 藤本啓寛

学生の皆さんは，大学の“どこ”で，“誰から”学んでいますか？･･･多くの人は「授業で」「先生から」と答えることでしょう．あるいは「サークルで」「友達から」と答える人もいるでしょう．そして最終学年の皆さんは「ゼミの場で」「指導教員の先生や先輩から」と答えるかもしれません．しかし，私はこれだけではありません．「図書館で」「職員の方から」が加わるのです．

 

卒業論文の執筆をしていた６年前，学問の成り立ちを明らかにする学説史研究をしていた私は、ある大学（Ａ大学としましょう）に設置された講座の教員の変遷を探っていました．Ａ大学・講座に在籍していた教員を洗い出すことで，そこでどのような研究が行われてきたのかの歴史を調べようと思ったのです．

しかし，私はすぐに情報の壁にぶつかりました．そもそも，大学のWEBサイトに掲載されているのは，現在その大学に所属している教員のみです．その大学・講座の歴史は30年以上あり，インターネットを調べるだけでは昔所属していた教員が出てきません．Ａ大学は早稲田からは遠く離れているため，お金がない私は訪ねることすらできません．また，その大学・講座出身の知人もおらず，手がかりを得ることすらもできませんでした．打つ手がなくなってしまったのです．

そんなとき，藁をもすがる思いで頼ったのが図書館のレファレンスサービスでした．レファレンスサービスでは，資料の探し方について相談に乗ってくれます．早稲田大学図書館では，中央図書館２階を始めとしたレファレンスカウンターにおいて対面で相談ができるほか，MyWaseda内の「図書館申請フォーム」からオンラインでも相談できるようになっています．自宅にいて，大学に行くのが億劫だった私は，後者のオンラインレファレンスを利用しました．下記の画像は，2016年当時の私が入力したレファレンスの控えです．

それから５日後，図書館利用者支援課（当時）のＯさんからとても丁寧な返信が返ってきました．Ｏさんのメールには次のようなことが書いてありました．

今回のように大学に関する調査を行う場合，まず最初に参照いただくべき資料としましては，各大学の大学史があげられます．Ａ大学に関しましても，『Ａ大百年史』や『Ａ大の〇〇年』等が発行されており，本学に所蔵がございました．また，講座を開設している学部のシラバスや講義要項を確認いただくと，講座担当教員の変遷を辿ることができます．

 

Ｏさんの回答は，私にとっては目から鱗でした．なるほど，大学の歴史をまとめた『大学史』という資料があるのか．また，確かにシラバスには教員情報が記載されているから，外部に公開されているシラバスが情報源になるのか．研究者が執筆した論文や書籍だけを情報源としてきた私にとって，Ｏさんの提案は新しい道を提示してくれたように思いました．

しかもそれだけではありません．Ｏさんの返信は次のように続きます．

上記手順を踏まえ，こちらで調査いたしました結果を下記にご報告致します．

 

「えっ！？そこまでやってくれたんですか？」というのが最初の感想でした．ＯさんはＡ大学のシラバス，大学史，大学史に記載があった文献，そしてＡ大学の図書館に連絡した上で，蔵書確認まで行ってくださったのです．早稲田大学で閲覧できる文献，取り寄せが必要な文献，Ａ大学への直接訪問が必要な文献まで分け，私が段階的に調査を開始できるように整えてくださりました．

その後，Ｏさんの助けが功を奏し，Ａ大学についての調査はスムーズに進展し，卒業論文を提出期限の1か月前に仕上げることができました．大学院に進学して以降も，私はオンラインレファレンスを度々利用させていただいています．いつも，「なるほど，そうやって見つけるのか」と唸る回答が返ってきて，利用者支援課の職員の皆さんが名探偵のように思えてきます．

 

皆さんは，図書館をどのように活用していますか．本を読むだけ，あるいは自習場所として利用するだけにとどまっているのは，ひょっとしたら勿体ないかもしれません．大学内外で耕された問題意識をもとに，図書館で様々な資料を探してみてください．そして困ったときには，ぜひレファレンスサービスを利用してみてください．図書館の職員の方はきっと，あなたがまだ見ぬ世界へと一歩を踏み出す足場を一緒に組み立ててくれるはずです．

 

参考ＵＲＬ

早稲田大学図書館におけるレファレンスサービス

https://www.waseda.jp/library/services/reference/