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生涯教育学専修で
身につく能力

授業を通して獲得される力として
生涯教育に関する知識はもちろんのこと,
次の能力も挙げることができます.

1.人間と社会の可変性を考える能力

教育は,学校・家庭・地域・職場などの生活の場において,人間の生涯にわたって行われています.他者への「教育」という働きかけ,自己の「学習」という行為の背後には,人間は教育や学習によって成長・発達し,そうした人間によって社会は建設されるという考え方が存在しています.われわれの生き方や社会の在り方を考えることとは,この人間と社会の可変性という考え方を追究することなのです.

2.多様性を理解する能力

われわれは,多様な人々や文化に囲まれて生きているのですが,マジョリティを普通だと思い,マイノリティの存在や,マイノリティがマジョリティと同じ扱いを受けていないことに気がつかないことがよくあります.男性に対する女性,エスニック・マイノリティ,性的マイノリティ,病気や障害を抱える人々…といくつも例を上げることができます.マイノリティが抱える課題を理解し,文化や価値観の違いを認め合うことで,われわれは共存していくことができるのです.

3.理論と実践を往還する能力

学問的な理論ときくと,抽象度が高く理解が容易ではないと思うかもしれません.そんなことはありません.理論とは,われわれの思考の引き出しです.引き出しを多くもつことによって,問題を多面的に把握し,論理的に思考することができるようになります.また,抽象的な理論を現実社会の問題に引き寄せて考えることで,実践の場における多様な選択肢を提示することができるようになるのです.

4.データを収集し分析する能力

社会で生起している教育という事象を考えるにあたっては,それをエビデンスとしてとりだすことが必要です.そのためには,インタビューや参与観察などの質的データ,あるいは,質問紙による量的データとして収集し,それぞれの方法によって分析し,考察を深めていきます.これらのスキルを身につけることで,事象相互の関係を見出すことができ,問題を構造的に把握することができるのです.

5.人間の学習と労働を構想する能力

人生100年時代,人間の学習と労働とは切り離して考えることができなくなってきました.しかし,学習と労働とをどのように組み合わせた社会を作っていくのか,まだ,十分な答えが出てはいません.人間や社会の可変性を考え,その多様性を理解し,データにもとづいて論理的に思考する,こうした作業を繰り返すことによってはじめて,われわれの学習と労働の新たな在り方を構想することができるようになるのです.

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ご参考までに…