澁木円(しぶき つぶら) ※2021年夏,4年生のときに寄稿 生涯教育学専修では,学校教育や青少年に対する教育が中心であった従来の教育を捉え直し,教育を幅広い分野で捉え,「自己に適した手段・方法を自ら選んで,生涯を通じて行う学習」という生涯学習の定義のもと,教育の現状や課題,未来について研究し学んでいます. 私が実際に履修した講義を例に挙げると,教育の歴史を紐解き,教育とは何のためにあるのかを問い直す「社会教育史」や,大学進学率や大学教育における様々な制度を分析し,大学教育の意味を読み解く「教育社会学」,自身で教育関連の調査テーマを設定し,GoogleフォームやExcelを駆使して調査,分析,考察を行う「教育調査」など,他にも多様な視点に立ち教育を学ぶことができる講義が,必修科目や選択必修科目として開講されています. このような必修科目や選択必修科目に加え,経営における教育,知的障害者に対する教育や社会福祉における教育,諸外国の教育の歴史など,幅広い教育の分野での講義が開講されており,各人の興味に合わせた履修が可能となっています.
榑林大和(くればやし やまと) ※2021年夏,4年生のときに寄稿 以前「子ども論」を受講した際,先生がこんなことを言いました.「『子ども』とは普遍的な存在なのだろうか」と.私は,人生で一度も抱いたことがなかったその疑問に強く引き込まれました.曰く,現代において,ある程度若い人間は,「子ども」であり保護の対象であり幼稚で可愛らしい存在として認識されます.一方,ある時代のヨーロッパでは,彼らは飲酒や性行為すら許される「(身体が小さいだけの)小さな大人」として認識されていたようです.このように当たり前や規範を常に壊し続けくれる教育社会学や家族社会学を,私は現在ゼミで勉強しています.そこでしばしば求められる現状への懐疑的態度は,私の学生生活に大きな影響を与えました. 例えば,私が大学入学を機に始めたアルゼンチンタンゴは,日本で深く学ぶことができません.そこで,本場ブエノスアイレスに渡りギター修行をすることで,くすぶった現状の打破を試みました.他にも,幼い頃から好きだったスタジオジブリの魅力を100年先に伝えるために,早稲田大学ジブリ同好会を設立しました.既存のジブリ系サークルは,ジブリファンの立場からジブリを信奉する域を出ませんでした.そこで,アカデミックな分析を軸に,科学的,すなわち客観的にその価値を見出す試みをしています.これらの行動は,現状に安住する自分や社会への懐疑の表れです. そんなこんなで,私は生涯教育学専修で獲得した視座を起点に大変充実した学生生活を送っています.とはいえ,「充実」ということばを用いたということは既に現状に安住しているのかもしれません.自分のポジティブな感情すら懐疑するのはいささかスタミナを要しますが,それが学問に求められる態度なのです.
福井頌太(ふくい しょうた) ※2021年夏,4年生のときに寄稿 地域社会・地域課題について興味があったことから,そのテーマを扱っている生涯教育学専修に興味を持ち進学しました.一見「教育」とは関係がなさそうなテーマですが,学校教育においても地域社会との結びつきが不可欠であったり,成人や高齢者の教育においては地域のコミュニティが非常に重要視されていたりと,実は関連性がとても高いテーマだったりします.現在は,地域活性化など地域課題の解決のために,教育活動がどのように貢献できるのかをテーマとして,卒業論文を執筆中です. このように,教育と結び付けながら様々な社会課題を取り扱い,それぞれが興味のあるテーマについて研究できるという点が,生涯教育学専修の面白さだと思います.他にも高齢者教育や多文化教育,福祉など様々な内容を扱っており,私も入学したての頃は,「教育活動」の定義や取り組みの幅広さに驚きました.そこから1,2年生の間に様々なテーマの講義を受けることで視野を広げ,多角的な視点から社会課題を見つめられるようになりました.その他にも,学外にある社会教育施設を訪問する機会も多くあり,教育の現場が学校にとどまらないということを,自分の目で実感することもできました. 生涯教育学専修はカリキュラムの自由度が高く,興味関心に応じて講義を選択したり,他学部や他学科の講義を同時に履修して視野を広げたりしやすい専修だと思います.大学は自分の好きなことを勉強したり,好きなことに熱中したりできる場所です.勉強やサークルなど様々な大学生活の過ごし方があると思いますが,これから入学される方も,自分が感じた興味を大切に,大学生活を充実させて欲しいなと思います.