落語の奥深さに迫る——真打が語る伝統芸能の世界

2025年06月23日/ 小林(新保)敦子

落語の世界の魅力を、学生さんに体験して欲しい!そんな思いから、真打の落語家である桂やまと師匠のゲストトークを6月17日に企画した。社会教育史(生涯教育学専修2年)の授業の中で、江戸時代の文化について言及するのだが、であれば、江戸の代表的な文化とも言える「落語」の真髄を学生さんに感じてもらいたいと思った。

桂やまと師匠

桂やまと師匠は、東京都荒川区生まれ。地元の小学校で、6年間PTA会長を務め、学校における落語教室などにも積極的に取り組んでいる。そのようなご縁もあり、幸運なことに早稲田での講演をご快諾下さった。

話は冒頭から、素晴らしい声に惹きつけられて、あっという間の100分であった。まず、落語が、噺家と観客とがお互いに想像力を働かせることで成り立つ芸であることを、手ぬぐいと扇子を使いながら実演してくれた。

また、「たぬき」、「子ほめ」の二つの落語を演じてくれた。特に、子ほめは、私自身、あまりに笑いすぎて、涙がでるほどだった。

会場風景

江戸時代という士農工商の身分制社会という現実の中で、落語ワールドでは、武士も一般庶民も対等に会話していること、またどこか抜けている「与太者」であっても、みんなが見捨てずに支え合うという「理想郷」を、落語では描いていることを、師匠は語っておられた。

学生さんからの質問に答えながら、人前で話す時に、「間」をとることがいかに大切か、また、「間」をとるために、自分の息もその間は止めるという極意も伝授して下さった。プレゼンをする時に、是非とも心に留めておきたいものである。

終始笑いの中で、落語という世界の奥深い魅力を聞かせてくれる濃厚な時間であった。桂やまと師匠、ありがとうございました。またマネージャーで奥様の田中絢子さん、ありがとうございました(文責 小林敦子)。

花束贈呈 伊藤さんから桂やまと師匠へ

花束贈呈 富樫さんからマネージャーの田中絢子さんへ

著者プロフィール

小林(新保)敦子 (こばやし しんぼ あつこ)

教育・総合科学学術院 教育学部 教授
専門分野:社会教育,家庭教育,比較教育学
https://w-rdb.waseda.jp/html/100000316_ja.html