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在学生たちの声

生涯教育学専修で学んでいる学生たちに
大学生活のことを書いてもらいました.
学ぶ側からみた専修の魅力・早稲田の魅力は
様々なところにあるようです.

佐々木陽介(ささき ようすけ)

3年:佐々木陽介

※2021年夏,3年生のときに寄稿

何を学んでいるのかはよくわからないけど面白そう.私がこの生涯教育学専修を選んだ理由はそんな陳腐なものであったが今となっては大金星のように思えてくる.最初こそ自分は一体何を教えられているのかと戸惑ったが,元来から抱いていた「教育」のイメージを徐々に覆され,全く新しい概念として咀嚼することができた.学校教育,家庭教育,多文化教育など,我々の身の回りには至るところに「教育」の水脈が存在している.それは過去現在未来に渡って影響し合い,世界の共通言語として機能するのだ.本専修での学びを続けていくうちにこのようなエッセンスを汲み取った.簡単に言えば教育の多様性や重要性を4年間で掘り下げていくのだが,その方向性に囚われない奥深さがあるので学業に精を出すという意味ではこれほど恵まれた環境はないと思う.

ゼミが必修化されているのも本専修の特徴だ.私は小林敦子先生のゼミにおいて幅広い興味を抱きながら毎週の活動を精一杯堪能している.教育格差,子ども食堂,離島教育,異文化交流,取り扱うテーマは多岐に渡り,非常に自由度が高い.文献購読や発表会に限らず,ゲストスピーカーの登壇,コーチングセミナー,楽しいレクリエーションなども盛り沢山.皆にとって有意義となり笑顔に昇華される.目的意識の高い仲間や偉大なる先生と共に過ごすかけがえのない時間は何よりも大きな刺激だ.OB OGとの繋がりも深く,自らのロールモデルとなる方々を見つけることが可能となる.無上の恩恵に包まれた小林ゼミは私に本専修の素晴らしさを教えてくれた.

人生100年時代と言われている現代社会.その激動の渦を乗り越えていくためには生涯教育の考えが必要不可欠となることは紛うことなき事実だ.生涯教育学専修を選んだのは大金星.最後に繰り返し強調しておきたいと思う.

吉田なつみ(よしだ なつみ)

3年:吉田なつみ

※2021年夏,3年生のときに寄稿

私は現在,保育士を目指す上で敢えて資格取得のカリキュラムがない早稲田大学に通っています.そして,常に教育学を専攻しつつも他専修に比べて「NPO・NGO論とボランティア」「病弱者の心理・生理・病理」「博物館情報・メディア論」「生涯スポーツレクリエーション論」のように自分の興味・関心を押し広げる科目を十分に履修する事ができるという点で生涯教育学専修を選択しました.
他大の教育学部では多くの人が教師を代表的な進路としますが,マスコミや銀行,メーカー等の企業で働く卒業生が多いのは早稲田大学ならではの特徴です.

個人的な意見として,教育において根本的に必要なものは,教育学という論理的思考以上に教育者自身が多分野にわたり経験や教養を獲得し好奇心のアンテナを張り続けることだと考えています.

それと同時に,集団生活の中で生じる人権課題の解決を個人の心がけや意識変革に委ねるのではなく,政治,経済,歴史といった社会的状況を分析し,構造的な課題として制度等を見つめ直す姿勢も必要です.

教育学に縛られない様々な観点から社会を捉える力が養われ,結果的にその柔軟性や想像力があらゆる言語的・文化的背景を持つ子ども一人一人に寄り添う教育として還元される.そのような学びは,保育に特化し資格の取得を第一とする短大や専門学校ではなく,早稲田大学の生涯教育学専修だからこそ成し得たと思います.

この経験を活かし,将来は子ども一人一人に潜在する可能性や感受性を引き出せる保育士になり,特に機能不全家族で育つきょうだい児やアダルトチルドレンが子ども時代を子どもらしく過ごせるような支援をしたいと考えています.

小林拓海(こばやし たくみ)

4年:小林拓海

※2021年夏,4年生のときに寄稿

生涯教育学専修では,様々な学習の場を“実際の体験”を通じて学ぶことができます.

そのなかでも私が印象に残っている授業を2つほどご紹介しましょう.まず1つ目は,「生涯学習基礎演習」です.この科目では大学の周辺にある公立図書館や構内の博物館で実際に目や耳を使い,インタビューや観察を行うことで,公共の学習施設がどのように人々の学びを支援しているのか,ということを体感できます.金魚の水槽を使い,利用客をリラックスさせるというユニークな取り組みを目の当たりにできた下落合図書館での経験は卒業論文執筆の際にも非常に役立っています.

2つ目の授業は,「教育調査」です.この授業では,GoogleフォームやSPSSなどを活用して,統計分析を学ぶことができます.個人的にはこの授業を通じ,客観的な根拠を基に意見を述べる,という数学的な視点を身に付けられたと感じています.

そんな生涯教育学専修ですが,私はこの専修最大の魅力は授業ではなく,3年次から始まるゼミナール活動にあると思っています.2年次までに自分の学びたいことをじっくり考えられるので,将来の目標や問題意識が明確でなくとも学びたいテーマを見つけられます.私が所属する小林敦子ゼミでは,このコロナ禍でもZoom等のオンラインツールを活用し,各方面で活躍されているゼミの先輩方や外部の一流講師の方々の生のお話を伺うことができます.スタディサプリ講師の伊藤賀一先生と直接お会いできたことは今でも私の財産です.この情勢だからこそ,ゼミ活動を通じOBOGと繋がりを作れることは就職活動等で無視できないアドバンテージになります.

知識に頼らずリアルに体験――こうした学びをベースに,いまは,卒業論文執筆に向けた準備を進めています.コロナ禍の教育実習における経験を踏まえ,低コストで子どもたちの人間力を効率よく高める方法はないものか,と日々問いに向き合っています.

大空理人(おおそら まさと)

4年:大空理人

※2021年夏,4年生のときに寄稿

子ども〜大人の教育についてさまざまな分野の視点から学べることが生涯教育学専修の魅力です.教育学部というと教員養成のイメージが強いですが,当専修では社会で幅広く活躍するための実践的な力を身に付けられます.企業や団体と連携しながら学習するアクティブラーニング型の授業が豊富で,各自の関心に沿った問題設定を尊重するため,ぜひ学生の皆さんにはこの機会を活かして独自の教育問題へのアプローチを見出し,深めていただきたいです.

私は「教育×ゲーム」をテーマに勉強してきました.入学前は大人が学べる環境や機会作りに興味があったのですが,ワークショップ企画の授業を通して具体的な教育の方法論やツールを学んでいく内に,問題意識がより鮮明になり関心の幅も広がりました.そして,留学や長期インターンといった課外活動の経験がきっかけで今のテーマ設定に至っています.実生活と結びつけながら生涯教育学を学べたことが,専修での学びをさらに深める良い経験になりました.

現在は「大人の学びを促進するゲーム型教育」について卒業論文を制作しています.ゼミでは,各々の卒業論文のテーマ(スポーツ,メディア,社会格差など)の領域から「教育とは何か?」とみんなで議論することが非常に興味深く楽しいです.生涯教育学専修は,自分が熱中できる何かを教育の観点から考え直せる場所です.あなたならではの視点で新しい教育を探求してみませんか?皆さんの専修での学びを応援しています!